99%ロマンチック

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映画脚本家になるべく短編シナリオで修行中

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シナリオ練習5

これにて商人の話は終わりです。

ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。

今日からはまた新しい短編を書きます。

書きなおしは短編を三作品を書いてから行うつもりです。

読者視点で読みたいので、日を置きます。

 

商人の話5

 f:id:reona-kinoko:20170718161953p:image

× × ×
楽しそうに話す王子とリンゴ。ついていく馬
×××
川で遊ぶ王子とリンゴ。茂みが動き警戒する。が顔を出し安心する。
茂みから出てくるの後ろから蛍が一斉に空へ飛んでいく。

〇同・見晴らしのいい場所
   月の光が明るい。森の外の景色を眺める王子、リンゴ、馬

   王子とリンゴ、座る。
王子「ほら、あそこが僕が住む場所さ。」
   お城を指さす王子
リンゴ「まあ!あそこに住んでいるの?」
王子「そうさ、あそこには父上と母上、それから弟がひとりいるんだ。皆仲が良い。」

リンゴ「帰りたくはならないの?」
王子「(笑う)帰れないんだ。僕ってバカだよね。あそこに見えてるのに、すぐわかりそうなのにたどり着けず結局迷ってしまった。でもそのおかげで君に出会えた」
リンゴ「そうだったの。」
王子「ああ。君の気持ちが知りたい。君は僕と出会えてどう感じた?」
リンゴ「え?(照れて)私は、、、」
   王子リンゴをじっと見つめる。
リンゴ「そ、そそんなことよりずっと気になっていた事があるの。」
   リンゴ、体を背ける。
王子「なんだい?」
リンゴ「あ、あなたの住む町から年に二回大きな音と共に様々な色をした星がたくさん飛ぶの。あれは何というの?」
王子「ああ!あれは花火っていうんだよ。空に球を飛ばして花を咲かせるんだ。」
リンゴ「それをしてどうなるの?」
王子「花火が上がる日は僕と弟の誕生日なんだ。街中が祝ってくれて。最後は花火を打ち上げてみんなで同じ空をみて感動する。」
リンゴ「(静かに笑う)愛されているのね。」
   ゆっくりと王子の目を見つめ話すリンゴ
リンゴ「じゃあ、あなたは絶対に帰らなくちゃ。」
王子「君を置いて行きたくはない。」
リンゴ「私は森から出られないわ。」
王子「どうして」
リンゴ「私はただの酸っぱい実がなる―。」
   王子リンゴに唇を近づける。リンゴ目を閉じ受け止めようとする。轟音。花火が上がる。リンゴ王子のキスを拒む。
リンゴ「行って。街中の皆があなたの帰りを待っているわ」  
   王子、立ち上がり
王子「君を置いて―」
リンゴ「この花火を逃したら次は無いかもしれないわよ?迷子で死ぬの?」
   リンゴも立ち上がる。
王子「それでもいい。」
   馬、心配そうに寄ってくる
リンゴ「あなたは皆から愛されてるのよ。あなたはもうあなただけのものじゃないの。」
   王子、黙る。
リンゴ「良い判断をして」
王子「、、、わかった。僕は行くよ。君と会えて良かった」
   馬に乗る。リンゴ、寂しそうに見つめる馬に微笑み返す
リンゴ「私も会えて良かったわ」
   王子、馬を走らせ森の中へ消えていく。
   リンゴ、王子の背中を見て
リンゴ「本当に、出会えて良かった。」

〇同・青い実のなる木
   花火の轟音が続く。ふと花火をみるリンゴ。頬を伝う涙
   肩をトントンと叩かれ振り向く。
   リンゴ、振り向くと同時に王子に唇を奪われる。
  リンゴ、顔が真っ赤になる。
リンゴ「そのまま目を瞑っていて」
  リンゴ、もう一度王子にキス。
  後ろへ下がり、元の木へと戻る。
  王子、目を開けると赤い実をつけた木が目に映る。木を撫で
王子「、、、とても綺麗な実だ。」
   王子、木に微笑む。赤くなったリンゴの実を二つ取り、一つを馬に投げる。
   馬、喜んで食べる。
   王子、馬に乗り、リンゴの実を齧る。
王子「なんだこれ?!すごくおいしいじゃないか!」
   王子、リンゴをもう一つ取って、
王子「さあ、急ごう」
   馬、いななき、森を抜けていく。見守るリンゴの木

〇(戻って)・ミャオキャット酒場(昼)
   自慢げに話す商人。グラス掃除するマスター。カウンターに転がる小さなショットグラス、床に寝ている大男。酒瓶を抱いて眠る酔った男。カウンターを見つめる物騒な男。

商人「それから帰った王子は、その甘い赤い実を『リンゴ』と名付け、街の中で一番花火が見える場所に種を植えたそうだ。その木が成長して今ではこうやって売られるようになったんだ」
   カウンターを見渡す商人。
商人「あああ、みんな寝ちゃったか。」
マスター「今日も良い話だったぞ。」
商人「いつも聞いてくれるのはマスターだけだ。」
物騒な男「植えよう。」
マスター商人「え?」
   物騒な男の開いた手には、リンゴから取り出された複数の種。

〇ウエスタン通り・ミャオキャット酒場前
   種を地面に植えて酒をやる物騒な男。顔が緩んでいる。
商人「ねえ、こんな所じゃー」
   商人話を遮るマスター商人に
マスター「(小声で)何するか分かったもんじゃねーぞ」
   商人、焦って頷く。
商人「リンゴが出来たら見に来てもいいか?」
物騒な男「ああ、もちろんだ」
   物騒な男、にやつく

              おしまい

 読んでいただきありがとうございました!

リライトはまた今度。